Hurricane is the last straw for some in Houston
「ハリケーンの襲来で一部のヒューストン市民は我慢の限界に」
(J. David Goodman, 'Hurricane is the last straw for some in Houston' The New York Times International Edition, July 20-21, 2024, p. 7)
'the last/final straw' は文字通りには最後の藁(わら)という意味ですが、これはアラビア語のことわざに由来するイディオムで、
「すでに重荷を背負っているラクダの背骨は、さらにたった1本の藁を乗せるだけで折れてしまう」というたとえから、「すでに一連の悪い出来事に見舞われている人が、我慢の限界を越えるきっかけとなる最後の引き金」という意味で使われるようになりました。
このことから、この表現は 'the straw that breaks the camel's back' という形で使われることもあります。また日常会話で 'That's the last/final straw.' といえば「このような目にあってはもうこれ以上我慢できない」(='I can't take it anymore.')という意味となります。
上記の新聞記事によると、アメリカ・テキサス州のヒューストンはすでに春に何度か激しい雷雨に見舞われて暴風と洪水による被害が出ていて、今回それに追い打ちをかけるようにハリケーンの襲来によって電力施設が破壊されたため、2カ月間に2度目となる大規模な停電が発生しました。
これが the last straw=我慢の限界となって、一部の市民がヒューストンから転居することを真剣に検討するようになった、という文脈でこの表現が使われています。
最後に今回取り上げたイディオムの例文を挙げておきます(いずれもNHK出版「英語イディオム辞典」から引用しましたが、'the last straw' の日本語への訳し方も参考になります)。
¶The construction company had been in the red for a long time, but the loss of the big new construction contract from the government was the last straw.
(その建設会社は長年にわたって赤字だったが、政府から大口の新規建設契約が取れなかったことが致命傷になった。)
¶He was very shaken after being demoted from a fairly influential job to one with very little responsibility. Losing his large house was the last straw.
(かなり影響力のある地位からほとんど責任のない立場に降格されて、彼はすっかり動揺していた。大きな自邸を失ったのがとどめの一撃になった。)