He says he wants to become prime minister, but he doesn't have what it takes.
「彼は首相になりたいと言うが、彼にはそれに必要な素質がない」
(Gabriele Ninivaggi, 'All eyes on Wakayama wildcard' The Japan Times Weekend, October 26-27, 2024, p. 1)
上記は先日行われた日本の衆議院議員選挙でのある立候補者について、選挙区のある地方議会議員が発言したものです。
what it takesという表現は意味がとりにくいですが、ここでのtakeは
¶The job takes a lot of time.(その仕事は多くの時間がかかる)
という例文にみられるように、「~がかかる・を必要とする」という意味を表します。
典型的には~の部分には時間のほかお金や労力が入りますが、
¶It takes patience and industry to master a foreign language.(外国語の習得には忍耐と勤勉が必要である)
という例文(新英和大辞典から引用)にみられるように、人の好ましい資質といったものも目的語にとることがあります。
have what it takes という(インフォーマルな)表現も人の資質や能力を問題としており、ここでの what は先行詞を含む関係代名詞なので、これを言い換えるとhave the thing that it takes=それ (it) に必要なもの(資質や能力)を持っている、という意味となります。
冒頭の文では it は同文の前段にある to become prime minister(首相になること)を指しており、後段では he doesn't have what it takes と否定形になっているので、彼はそれに必要な資質を欠いているという意味となります。
この表現で、it の内容が後につづく to不定詞の形で表されることもあるため、最後にそのような例文(新英和大辞典から引用)も挙げておきます。
¶He has what it takes to make him successful.(彼は成功するのに必要な素質を持っている)