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句動詞 {go/look}{into/over/through} の使い分け

更新日:12月6日

前回のブログほとんどの句動詞にはいくつも意味があるため句動詞を使いこなすのは難しいと書きました。


また、複数の句動詞が同じような意味を表しているものの、使われる場面が異なっていて使い分けが非常に難しいことがあります。


私が一番難しいと思うのは、ある事柄や文書の内容・物の中身などを「検討する」「調べる」「チェックする」「探す」といった意味を表すときに、①go into ②go over ③go through ④look into ⑤look over ⑥look through の6つの句動詞のうちどれを使えばよいのかという問題です。


以下、分かりやすいように便宜上①と④、②と⑤、③と⑥と3組に分けて簡単に説明します。なお、例文のあとにあるアルファベットのうち、Oはオックスフォード句動詞辞典、Lはロングマン現代英英辞典から引用したものであることを示します。


1. ①go intoと④look into


まず①のgo intoは一般的にある事柄について詳しく「検討・調査する」ことを表しますが、それとは別に「説明する」という意味で使われることも多く、


また、「調査する」という意味では事件の捜査など「真実を発見する」というニュアンスが強い場合は④のlook intoを用いるのがよりふさわしいです。


~例文~


①go into

¶We need to go into the question of costs. (O)「検討・調査する」

¶I won't go into details now. (O)「説明する」


④look into

¶Police are looking into the disappearance of two children. (L)「捜査する」


2. ②go overと⑤look over


②のgo overはある事柄や問題について「よく考える」という意味のほか、文書にミスはないか、建物などにダメージや危険な箇所はないかなどを「入念にチェックする」場合に使われますが(教科などを「復習する」という意味になることもあります)、


⑤のlook overは文書などに「ざっと目を通す」、またはある物の状態が完璧というよりも一応許容できる状態にあるかどうか「視察・点検する」という意味となり、②のgo overと比べてチェックの厳密さが下がるイメージです。

(ちなみにlook overは目的語に「物」だけでなく「人」をとることができ、この場合「外見を目で見てチェックする」「診察する」という意味となります。)


~例文~


②go over

¶I've gone over and over what happened in my mind. (O)「よく考える」

¶Go over your work for spelling mistakes before you hand it in. (O)「入念にチェックする」

¶The Health and Safety Officer went over the whole school, checking every fire door. (O)「入念にチェックする」


⑤look over

¶I need to look over my notes before the test. (O)「ざっと目を通す」

¶We looked over the house again before we decided to rent it. (O)「視察・点検する」

¶I'd like the doctor to look him over. (O)「診察する」


3. ③go throughと⑥look through


③のgo throughは何か特定のものを見つけるため部屋の中やバッグなどの中身を一品ずつ取り出すように「隈なく」探したり、リストや帳簿など何か書かれたものについては「始めから終わりまで読んでチェックする」という意味で使われますが(②go overと同様に教科などを「復習する」という意味になることもあります)、


⑥のlook throughでは何か部屋の中や物の中身を「一通り」探すものの「隈なく」というほどではなく、書かれたものについても全部読まずに「ざっと読む」という意味合いとなります。


~例文~


③go through

¶Do you want me to go through this and check your spellings? (L)「始めから終わりまで読んでチェックする」

¶Dave went through his pockets looking for the keys. (L)「隈なく探す」


⑥look through

¶I looked through the paper while I was waiting. (O)「ざっと読む」

¶What are you doing looking through my bag? (O)「一通り探す」


4. 語順について


なお、句動詞では動詞以外の要素が前置詞なのか副詞なのかによって語順についてのルールが異なります。


以上の意味で用いられる①~④と⑥の句動詞に含まれるinto, over, throughはいずれも前置詞で、常に句動詞を分離させずに「句動詞+名詞(句)」の形で用います。


⑤look overについては「ざっと目を通す」の意味(⑤の最初の例文)では①~④・⑥と同様overは前置詞でlookとoverを分離させずに用いますが、


「視察・点検する」「(人を)診察する」の意味(⑤の2・3つ目の例文)ではoverは副詞で、代名詞でない目的語の場合は、lookとoverを分離させず目的語をoverのあとに置くか、lookとoverを分離させてその間に目的語を入れるかの2つの型が可能となります。


一方、これらの意味で用いられる時で、目的語が代名詞の場合はlookとoverの間に入れるのが原則ですが、この句動詞では例外的に、「物」を指す代名詞it, themについてはoverの後に置くことも可能とされます(オックスフォード句動詞辞典)。


よって⑤の2つ目の例文(目的語が代名詞ではない)では 'We looked the house over again ...' の語順も可能ですが、3つ目の例文(目的語が代名詞)で 'him' は「物」でなく「人」を指すので、'I'd like the doctor to look over him.' という語順にすることはできません。


句動詞の語順については数個の基本的なルールさえ覚えておけば十分なことが多いですが、ここで見たlook overのように特殊なものもあり、注意が必要です。




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