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AI翻訳は万能ではありません

更新日:2024年8月16日

最近読売新聞の地域版の記事で面白いものを見つけました。京都市観光協会が市内の50の観光施設などを調査したところ、外国人観光客向けの案内表示に約500か所翻訳ミスやおかしな表現があったとのことです。


記事によると忍者体験のできるある観光施設には、利用者が暴れないよう 'Don't act up' という注意書きがありましたが、これは「調子に乗るな」という意味に近く、外国人から指摘を受けて 'Don't act violently'(「激しい動きをしないでください」)という表記に改めたそうです。


忍者体験で「調子に乗るな(Don't act up)」訪日客、戸惑う誤訳の案内板…京都の観光地でミス多発(記事はこちら


ちなみに 'act up' という句動詞は意味がとりにくいですが、子供がいたずらをしたり行儀悪く振舞うことを意味するので、'Don't act up' という注意書きはまるで外国人観光客を子供のように馬鹿にしているような表現となっています。


これに限らず、京都市の観光施設で見つかったミスの多くは日本語をそのままAI翻訳にかけて、内容をチェックしないままにしていたことが原因となっています。


記事にも書かれていますが、「AI翻訳は、前後の文脈を読み取れずに脈絡のない文章を生み出したり、勝手に内容を足したりすることがある」ため、AI翻訳があっても出力された結果が妥当かどうか自分で判断できるようにしなければなりません。


結局AIが参考にできるのはインターネット上にある情報だけで、言葉を使う人の意図や状況・文脈といったインターネット上にはない情報を見通せる「神通力」があるわけではありません。


以上のことから、AI翻訳に丸投げしておけば個々の状況にあった的確な英文が得られると考えるのは危険なので、AIツールの使用は補助的なものにとどめ、最終的には自力である程度の水準の英文を書けるだけの英語力を備えておくか、それが嫌なら英語が分かる人のアドバイスを受ける必要があります。


観光施設に限らず、電車・バスなどの交通機関やスタジアム・デパートなどの公共施設の案内表示やアナウンス・商品のパッケージに至るまで、日本には変な英語があふれています。英語力がついてくると自分でもそうした変な英語に気づけるようになって面白いですよ。




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