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英検・IELTSライティングと句動詞

更新日:12月6日


1.英検ライティングで句動詞を使えるのか?


これまでブログで何度か句動詞について触れてきましたが、句動詞の中には話し言葉でしか使われないインフォーマルなものもあるし、多くは複数の意味を持つことから意味が曖昧となりがちです。


そのため、アカデミック・エッセイや論文など、曖昧でないことが特に要求されるフォーマルな文章を書く際は句動詞を多用するのは避け、一語の動詞で表すことができればそうすべきであるとされます。


それでは、英検のライティングでは句動詞を用いることが許されるのでしょうか?


これについて英検協会ははっきりと述べていないようですが、協会が公表している先月行われた2024年度第1回の英検1級の解答例を見てみると、エッセイ課題(問題番号5)の解答例では、shell out more for it(8行目)・turn off devices(13行目)・drive down demand(16行目)の3つの句動詞が使われています。


特に、shell outという句動詞(「しぶしぶ大金を支払う」という意味)は明らかにインフォーマルなもので、この解答例を見る限り、英検協会はエッセイでの句動詞の使用に関しては寛容であるように見え、句動詞の使用の可否についてあまり神経質になる必要はなさそうです。


それでもインフォーマルな句動詞の使用は避けて、この解答例にある 'shell out more for it' の部分は 'pay more for it (reluctantly)' としたほうが無難ではあるし、


例えば 'I hit it off with a guy at a bar, but he was later knocked off by a gang.'(私はバーである男とすぐに仲良くなったが、彼はその後ギャングに殺された)というように、スラング交じりのかなりくだけた文章を書くのは絶対に避けるべきと言えます。

(もっともこんな文を英検で書くことは絶対にないと思いますが)


なお、今年から導入された英文要約問題(問題番号4)でも、今年の英検第1回試験前に英検協会が公表した1級のサンプル問題では、解答例で end up simply moving ...(5行目) という句動詞が使われているので、こちらでも問題文の内容を言い換える際に句動詞の知識があることを積極的にアピールするのがよいと思われます。


2.IELTS (TOEFL) ではどうか?


以上に対して、IELTS (Academic)やTOEFLは留学に必要な英語力を測る試験なので、英検と異なりこれらの試験のライティングではアカデミック・ライティングの原則通り句動詞の使用はできる限り避けなければなりません。


しかしアカデミック・ライティングでも誤解を招く恐れがなく、例外的に使うことが許されるアカデミック句動詞(Academic Phrasal Verb)というものがあります。


残念ながら「これがアカデミック句動詞の一覧だ」というような網羅的なリストはないのですが、こちらのブログのコーパス分析によると、以下の10の句動詞はアカデミックな文章で使われる頻度が高いそうです。


point out「指摘する」carry out「実行する」go on to「続けて~する」make up「(割合を)占める」set up「設立する」take on「(仕事などを)引き受ける」turn out「判明する」bring about「引き起こす」give up「放棄する」find out「発見する」

ただ、ほかの人が書いた記事や、IELTSの参考書を見ると、例えばset upはestablishに、bring aboutはcauseに、give upはabandonに、find outはdiscoverに代えるべきだとするものもあります。


個人的には少なくともset upやfind outは(使うことがあれば)IELTS (academic)やTOEFLでもそのまま使って構わないのではないかと思いますが、限られた試験時間中にいちいちこれはアカデミック句動詞なのかどうか悩んでいる暇はないので、


受験対策としては一語の動詞がすぐに頭に浮かべばそちらを使い、浮かばなかったら(スラングや明らかにインフォーマルなものでなければ)躊躇なく句動詞を使って英文を完成させることを優先させるという方針で行くのが良いと思います。


なお、ライティングと異なり、英検・IELTS・TOEFLのスピーキングではインフォーマルな句動詞であっても(スラングでない限り)広く使うことができます。




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