Concept of English Coaching
英会話レッスンとの違い
英語コーチングの意義は英会話レッスンと異なり、スピーキングに限らず英語4技能にわたる英語学習法を指導するとともに、学習者の日々の学習習慣に踏み込み、英検合格や IELTS・TOEIC L&R のスコアアップも含めおのおのの英語学習に関する目標が実際に達成されるよう導くことにあります。
英語コーチは、スポーツ選手につくコーチのように、各学習者の目標設定・学習内容の選択についてアドバイスし、
日々の学習状況をモニターすることを通じて受講生が本質的な英語の学び方を身につけ、学ぶ習慣づけを行うためのサポートをするとともに、受講生を励まし受講生の英語学習のモチベーションを高めます。
近年英語コーチングというコンセプトが脚光を浴び、多くの受講生を集めているのは、英会話レッスンでは英語力は根本的に向上しないと感じている方が多いためであると考えられます。

英会話レッスンの限界
従来は通学型の英会話スクールが普段英語を使う機会の乏しい日本人学習者に英語を話すための場を提供してきましたが、コロナ禍をきっかけに自宅から受講できるオンライン英会話が人気を集めています。
しかし通学型の英会話スクールでは伝統的にはグループレッスンが主流で、仮に一コマの授業時間が60分あったとしても、一人の受講生が実際に英語で発話できる時間はほんのわずかです。
長年英会話スクールに通っても一向に英語が上達しないとおっしゃる方も多いですが、週一回程度のレッスンに通うだけで残りの時間何もしないのであればそれも当然と言えます。
一方、一対一のオンライン英会話でも受講生の満足度は必ずしも高くなく、上達が実感できないという声を多く聞きます。
その理由として多くの方が挙げられるのは以下のような点です。
・せっかくレッスンに申し込んでも多くの時間は講師が話し、自分は聞き役に回ってしまう(またはそもそも講師の言っていることが理解できず、会話が成立しない)
・こちらから英語を話したとしても講師は誤りをいちいち指摘しないし、講師を替えると自己紹介を繰り返すばかりでマンネリ化
・毎回のレッスンで触れられる口語表現の数はたかがしれているし、それを覚えるだけでは応用が利かない
・発音の理屈を学ばないまま講師の発音をなんとなくまねてみても不正確な発音の仕方を強固にするだけ
・毎回レッスン内容を復習して足りなかった点を反省しなければ、レッスンを重ねても同じ誤りを繰り返すだけで無意味(レッスンを録画して復習する学習者はほとんどいない)
スピーキング力「だけ」伸ばそうとするのは間違い
英語を話すにしても、そもそも自分の知らない言葉を自ら発することはできず、英語のインプットがなければアウトプットをすることはできません。
インプットが足りないまま英会話レッスンに参加しても英語で言えることは少なく、自分が知らない英語表現を無理やり創作しても、意味不明な日本語の直訳となって講師から「そうした表現は英語にはない」と指摘されるだけで、
「インプット0に対しアウトプット10」では決して英語を話せるようにはならないのです。

従来の学校英語教育はインプットばかりでアウトプットはほぼ皆無だからいけないと批判されがちですが、中学高校の6年間朝起きてから夜寝るまで英語漬けの生活を送っていたのであればともかく、
青春は密なので、現実の学校生活は英語以外の教科の学習はもちろん、部活動や学校行事等で忙しく、
むしろ日本の中学高校の授業をこなすだけでは満足に英語を話せるだけのインプットが足りていないと考えるのが実態に即しています。
もちろん、英語を話すためにインプットすべき英語は、受験のための英語でなく実際のコミュニケーションの場で使える英語でなければなりませんが、
普段から豊富に生のリーディング・リスニング素材に触れて、スピーキングで使える語彙や表現をそれらの使い方の感覚とともに吸収する必要があります。
また、英会話では相手の言っていることを理解するリスニング力がなければ会話のキャッチボールが成り立たないし、
そのリスニング力自体「英文を読んで理解できない(または読むスピードが遅い)方がナチュラルスピードの英語を耳で聞くだけで理解することはなおさらできない」という意味でリーディング力に依存しています。
さらに、書き言葉と話し言葉の違いはあるにしても、時間をかけてもある程度まともな英文を書くことができない方がとっさにまともな英語を話せるはずはなく、スピーキング力はライティング力とも相関しています。
結局英語を話すためであってもスピーキング以外の英語4技能を無視することはできず、英文法や発音の体系的理解を含め、英語を話すのに必要な、英語4技能にまたがる土台を固めなければなりません。
そのための日頃の英語学習の習慣づけをするには、英会話レッスンのようにスピーキングだけにフォーカスするのでなく、英語4技能にわたる Holistic な(各技能を別々でなく互いに深く関連するものとみて、全体を一体として扱う)アプローチをとる英語コーチングを受けることが有効です。